どうもー投資ロウトです。
先日企業分析依頼を受けた際に、事業再生ADRという馴染みのない用語が出てきました。
自分も馴染みのない言葉だったので、勉強も兼ねてどう言ったものであるのかをまとめたコラムとなっております。
※事業再生ADRと企業再建ADRの中の手法の一つなので、後述は「企業再建ADR」を使用します。
- 企業再建ADRとは誰の為のもの?
- 企業再建ADRのメリットとは?
- 企業再建ADRのイメージとは?
- 何でもかんでもADR申し込みができるのか?
- なぜこのような制度が生まれたか?
- 銀行にも妥協は求められる
- まとめ
企業再建ADRとは誰の為のもの?
事業が債務超過になった場合、今後どうすればいいのか悩んでしまう経営者の方が多いと思います。なので以下の人の為に作られた制度のようです。
・債務超過に悩む経営不振の企業
・破産に怯えている経営者とその家族
・失業を恐れる従業員
・連鎖リスクを恐れる取引先
ただ倒産しそうだからといって、闇雲に経営を引き伸ばすと、赤字を生み続けるゾンビ企業を作り出してしまう恐れがあり、地方銀行など融資する側に過剰に負荷がかかる恐れとなってしまいます。それを改善するために作られた枠組みが「企業再建ADR」という仕組みになります。
企業再建ADRのメリットとは?
企業再建ADRによって、金融機関から同意を得た上で借金を減らしますよなどといった内容をお互いの合意(調停)が取れれば、債務の返済の額が現実味のある額に減ったりします。
つまり、貸借対照表に溜まった過剰な負債欄が綺麗になって帰ってきますよ!というメリットがある訳です。
ただそれはあくまで企業側のメリットになりますが、事業が存続することで地域活性化や、企業の決算書に浮かび上がってこない無形資産(ノウハウ)などの
資産が残されるので、その資産が社会に良い影響を与えるということも考えられます。
企業再建ADRのイメージとは?
通常債務を回収する際は、法廷でV社と銀行が争うみたいですが(回収代行の可能性もあり)、ADRという第三者が仲介する事によって、債務に関してスムーズにやり取りが
行われるという仕組みみたいですね。
何でもかんでもADR申し込みができるのか?
債務を返さなくていいとなると、企業側のメリットがとても多くとりあえず申し込みしたいと思いますよね。
なので、申し込みをするには条件が設定されています。
①自主再建の見込みがある
②経営再建計画書が作成されている
③債権者も破産に比べて回収率が高い
まず①は業績か何か、自立できるよという説明が必要そうですね。②に関してはADRの方に納得してもらい、銀行にも理解が得られる資料を作る必要があるので、ここが一番の肝になると思います。
重要なのは、③ですよね。債権者が破産よりも回収率が高いこと。破産申請をするくらいまずい状況なので、会社を潰しても回収できなさそうな状態の場合は、銀行側にもまだ経営して返してもらう方がメリットが大きいように見えますよね!
なぜこのような制度が生まれたか?
会社が倒産した場合、社員は職を失い、取引先企業は連鎖倒産の危機になり、経営者は連帯保証人となっているため、自己破産になるなど不幸が起きてしまうという歴史があったようです。
そして過去は倒産をしたら、会社を潰して残っている財産(貸借対照表)に回収するいうのが流れだったのですが、それだと2つの損が起きてしまいます。
1つ目は「冒頭でお話しした無形資産(ノウハウなど)」を失うことです。企業は事業を行う際に、何かしらのサービス(価値)を生み出します。なので会社が潰れてしまったら、そのサービスを生み出すための無形資産(ノウハウ)は全く無駄となってしまうので、それを活かすことができるという話です。
続いて2つ目の重要なのは、会社を潰す際に会社の潜在価値について見ることができないという点です。よく黒字倒産という言葉がありますが、会社が上手くいって稼ぐ力があったとしても、資産のやりくりが上手くいかず倒産に追い込まれる企業は多数あります。そしてそれは損益計算書という稼ぐ力の成績表を考慮されていないという点にあるようです。
なのでお金はなかったとしても稼ぐ力があるなら、債務状況を整理すれば上手くいくっしょ?というのがADRの本質となります。